2020年にリリースされたaikoさんの楽曲『青空』。
メロディ自体はポップで明るいようですが、歌詞を聴いてみると結構悲しい雰囲気が立ち込めています。どうやら失恋ソングのようです。
大人の恋愛だった
まず、状況としては、失恋直後でしょう。
恋が終わった
作詞:AIKO
という表現から、何年も未練がある、というよりは別れを告げられた直後でしょう。
さらに、
そっと薬指を縛る約束を外してもほどいて無くしても
まだ気を付けて服を脱ぐこの癖はなかなか抜けないな
作詞:AIKO
という歌詞から、結婚の約束をしていたほどの深い関係であったことが分かります。大人の恋愛ですね。
単に「結婚しようねー」と若気の至りではしゃいでいただけなのでは?
とも思ったのですが、指輪が服に引っかからないよう気を付けて服を脱ぐ癖が付いていたことから、実際に婚約指輪をしていたのでしょう。
指輪と言っても、婚約指輪とは限らなくない?
…とも思ったのですが、薬指を縛る「約束」というのは、一般的に「婚約」だと考えられます。なので、この記事では、「約束=婚約」として解釈していきます。
歌詞から伺える「あなた」
なんだよあんなに好きだったのに
作詞:AIKO
好きだったそうです。
でも好きだったにしては、「触れてはいけない手」「間違い」と言って振り返っているのが引っかかります。「あなた」がどんな人だったのか、歌詞のフレーズから読み解いていきます。
自分の思い通りにしたいタイプ
そっと唇に力入れて
何にでも頷いてって今思い返すと馬鹿みたいだな
作詞:AIKO
唇に力を入れるというのは、恐らく口をつぐんで思ったことを言えない様子でしょう。さらに、「あなた」の言ったことに対し、否定することもなく頷いてばかりいた。
これだけだと、「あたし」は相手に合わせてしまう気弱な女の子とも捉えることができます。
ただ、そんな恋愛中の行動に対して『馬鹿みたいだな』と振り返ってることから、相手がこの人だったからこんな行動に出てしまったのだと思われます。
さらに
間違いを引き返せない
作詞:AIKO
とも言ってるので、「あなた」との恋愛は間違いだったと「あたし」は自覚していることが分かります。
彼女の見た目を気にする
一緒にいる時髪の毛とか凄い気にしていたのに
作詞:AIKO
急に出てくるこのフレーズ。
「愛してると伝えてたのに」とか「プレゼントあげてたのに」というフレーズでもいいのに、なぜか「髪の毛を気にしてたのに」というフレーズが出てくることに違和感を覚えました。
おそらく、「あたし」はそもそも見た目を気にするタイプの女の子ではなかったのではないでしょうか。それが、「あなた」と付き合っていたことで、普段気にしない髪の毛の乱れを気にするようになった。
だから、「一緒にいる時だけ、あなたのために見た目を気にしてやってたのに、捨てるのかよ」という文句が出てきたのだと思います。
モラハラ気味の人だった?
…これらのことを加味すると、モラハラっぽい男性だったのかなぁと思います。
振り返るのはあっけなくて怖い あてもなく信じた心が愛おしい
作詞:AIKO
まずこのフレーズの前半。
「あなた」と恋をしていた時はきっと夢のようだったのでしょう。結婚の約束までして、末永く続く「あなた」との将来のことも考えていたことでしょう。
でも、終わってしまうと「あっけない」。付き合っていた時のことを振り返ると、いろいろと疑念が湧いてきてしまうということでしょう。
よく考えたらあんまり大事にされてなかった。
よく考えたらあんまり会ってくれてなかった。
振り返るのが怖くなるくらいに、別れてしまった今になってみれば「良い恋ではなかった」と思い当たる節が多かったのかもしれませんね。本当に好きだったからこそ、モラハラなんかじゃない、自分はみじめじゃない、自分の恋は間違いなんかじゃないと思いたいのでしょう。
そして『あてもなく信じた心』。良い恋ではないと心のどこかで思いながらも、好きな「あなた」を信じていた、ということでしょう。さらにそんな心を『愛おしい』と言っています。後悔するような恋でも、相手を好きで信じてしまう自分の心を素直に『愛おしい』と思えるのは素敵なことかもしれません。幸せになってほしい。
不倫だった?
1番で
間違いを引き返せない 目の奥まで苦い
だけど無しに出来ないよ ずっと背けてた
作詞:AIKO
というフレーズがあります。
文章としてはちょっと複雑なので、分かりやすく直してみるとこんなかんじです。
「あなた」と恋をしたことは間違っていた。
目の奥まで苦い。(=涙が出てくることと、苦い思い出を振り返ることの比喩。)
間違ってたことはうすうす気づいてはいたけど、目を背けていただけだった。
そしてその間違いは無かったことにできない。
「間違い」という言葉から、ひょっとしたら不倫なのかもしれない、との考察もできます。いずれにせよ、「あたし」にとって間違った恋だったと思わせるような相手だったということですね。
不倫だと仮定すると、先ほどの『あてもなく信じた心』というフレーズも筋が通りますね。「奥さんとは別居状態だから」「もうすぐ離婚するから」というような言葉を信じちゃっていた、と考えることが出来ます。冒頭の『触れてはいけない手』というフレーズも、不倫だったらと思うと合点がいきます。
『薄ら汚れた空』というのも、不倫といういわば「汚い」恋を表す言葉として受け止めることもできます。
あの曲の続き?
そういえばこの曲、『桜の時』というaikoさんの曲の歌詞と雰囲気が似ている気がします。
まず、「薬指」「間違い」「信じる」という言葉が共通して出てきます。
さらに、
色づいたあたしを無意味なものにしないで
作詞:AIKO
というフレーズが『桜の時』にあります。「あなた」と恋をする前はあまりヘアメイクなどを気にしていなかったのかなと思える表現が、『桜の時』にも『青空』にも出てくるんですよね。
ここからは妄想なのですが、こんなストーリーが私の頭に浮かびました。
『桜の時』
「もしかしたら既婚者なのかも?」という疑念を抱いて付き合っていた。
(根拠:『気まぐれにじらした薬指』『信じる力ください』というフレーズから。)
↓
『青空』
何かのきっかけで相手が既婚者だったことが分かり、破局。
不倫の恋=間違いの恋だったことを回想。
こんな妄想まで組み立てましたが、私はそうは思いたくないんですよね。『桜の時』の「あたし」には幸せになってほしいので…。
『桜の時』の考察記事もあるので良かったら読んでみてください!
そんなわけで、aikoさんの『青空』という曲を考察してみました。
「間違い」のような恋をしても、「でも好きだった」と認められる素直な女の子、好きです。