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【作詞家必見!】感激のアニソン歌詞(女性ボーカル編)

みなさんはアニソンの歌詞についてどんな印象をお持ちでしょうか。

アニメのタイトルを入れた「the主題歌」のようなものもあれば、出演声優さんが歌う、作品内容に即した可愛らしいものもありますね。

今回は、実際に作詞をしていて、アーティストさんに歌詞を提供している私が、「こんな作り方があったか!」と感激したアニソンの歌詞を紹介します。

少女S/BLEACH

作品自体が名作でありながら、名曲を多数輩出してきたアニメ「BLEACH」のオープニングテーマです。

作詞はSCANDALのベース、TOMOMIさん。

この歌詞の何がすごいかと言うと、

サビの単調なメロディへの言葉のはめ方です。

あなたがいないとイヤイヤって言えるわがまま

愛情?友情?知りたいことは何でも

作詞:TOMOMI

日本語の歌詞って基本的に1音に1文字なんですよ。

例えばこの曲だと

あなたが いないと

=♩♩♩♩ ♩♩♩♩ タタタタ タタタタ

というリズムになります。

しかもサビのメロディは冒頭の2小節ほぼ全部同じ音程で、1音1文字をはめるとどうしても単調なつまらないサビになってしまいそうです。

英語詞だと、例えば

I won’t let you go=アイ ウォント レッ チュウ ゴォ

=♩♩♩♩♩ タタタタタ

というように、1音に複数字含まれることが普通です。

日本人が「いらっしゃいませ」を「シャッセー」と2音で言うのに似た感覚です。

しかしですよ。

少女Sのサビは子音と母音を交互に組み合わせることによって、英語詞のように1音に複数字を含めています。

あなた がぃ なぃ とぃ やぃ や=♩♩♩ ♩ ♩ ♩ ♩ ♩

あぃ じょう ゆう じょう=♩ ♩ ♩ ♩

こうすることで、

単調なメロディにも関わらず、ワウペダルを踏んだギターのようにメリハリのあるサビになっているのが私のグッと来たポイントです。

言われてみると英語っぽく聞こえませんか?

Utauyo! MIRACLE/けいおん!

けいおん!二期のオープニングです。


作詞は大森祥子さん。


当時はけいおん!の放送をきっかけに楽器を始める人も多かったです。

しかけるトレモロ
応えるフラム
いいじゃん いいじゃん
ノリノリでいいんじゃない

作詞:大森祥子

バンドマンがよく使う用語が散りばめられており、

バンド初心者が用語を知るきっかけともなる歌詞になっています。


私もその頃ギターを始めようとしていたので、「リリック」「トレモロ」など、分からないフレーズを検索してはお勉強していました

けいおん!の主人公で楽器初心者の唯は、作品中のバンド「放課後ティータイム」の作詞も担当しています。


この曲も「放課後ティータイム」名義で出されているものです。


作詞を唯が担当したのかなと思うと、覚えたての、ある意味ギョーカイ用語とも言えるフレーズを織り込んでいる様子は素直で可愛らしいです。

昨日の後悔って 明日の心配って
ぶっちゃけ ぶっちゃけ 
誰得? 何得?

作詞:大森祥子

『学校の勉強は好きじゃない、部活時間はお茶とおしゃべりばかり。

でも楽器の練習にはストイック』

というけいおん!の主軸を、若者言葉を交えてカジュアルに描いています

  • 登場人物による作詞
  • ギター初心者の作詞

正直メロディへの言葉のハマり方や歌いやすさは「良い!」と思えないのですが(歌いづらい…)、上記2つの大きな特徴が全面的に出ているため、

「作詞テク無視でもいい、楽しかったら大正解!」

と思える、戦略勝ちな歌詞です。

ライバル!/ポケットモンスター

ポケットモンスター無印のオープニングです。


作詞は、ポケモン作品に多くの歌詞を提供する戸田昭吾さん。

今ではホラ
笑いながら話ができるよ
“わすれたね!”ってとぼけてる
そんなオレのライバルたち

作詞:戸田昭吾

ポケモンのアニメ主題歌のテーマを考えるとなれば、私はどうしても「冒険」「仲間」「努力」「戦い」というものが思い浮かびます。

初代OPの「めざせポケモンマスター」も、ライバル!の後のOPである「OK!」も、冒険がテーマになってますし。

そこで仲間や戦いとしての意味合いも含み、冒険の途中で出逢う「ライバルたちをテーマにするという着眼点が、今となってはすごいなと感じました。

オープニング映像でも沢山のトレーナー達が映し出されるように、主人公サトシと戦った「ライバル」たちはたくさん登場しますね。

負けたくやしさは ふるえるほどだけど
にぎりこぶしをほどいて
ズボンで汗ふき あくしゅしよう!

作詞:戸田昭吾

「ライバル」と言えば当時の作品中ではシゲルですが、鍛えたポケモン同士を戦わせ、共に上を目指す者たちは皆素敵なサトシのライバルなんですね。

ヴィーナスとジーザス/荒川アンダーザブリッジ

作詞はティカ・αとありますが、これはやくしまるえつこさんの作詞の際の名義です。

やくしまるえつこさんはバンド「相対性理論」のボーカルでもあります。

えつこさんの書く歌詞は歌っていて気持ちのいいや、おしゃれな言葉遊びが多く、その分考察や解釈がものすごく難しい(のか、意味なんてないのか…)ものが多いです。

ヴィーナスとジーザスも全体的に解釈が難しい歌詞ではあります。

しかし荒川アンダーザブリッジのOPということもあり、作品に関わる用語がちょこちょこ登場します。

時間がないの いま何時?

授業開始の5分前

作詞:ティカ・α

ヴィーナス お隣さんなの
どうして? 知らない間に
ジーザス お向かいさんなの
聞いて やばいの

作詞:ティカ・α

夜明かし今夜はフライデーナイト

作詞:ティカ・α

主人公リクの恋人であるニノは、荒川河川敷に住む金星人です。

(作品を知らない人は色々疑問でしょうが一旦スルーでお願いします)


金星にかけて「ヴィーナス」「フライデー(=金曜日)」という用語が出てきますね。

ヴィーナスは言わずもがなタイトルにも入っています。

「お隣さん」という言葉も、同じ河川敷に住むホームレス達を連想させます。

「ジーザス」も、毎週河川敷でミサを開くシスターを連想させますし、「授業」は大学生であるリクや、リクの河川敷での授業を連想させます。

このように、一見、いや何度聴いても全然意味が分からない歌詞ではありますが、フレーズを一つ一つ紐解くと荒川アンダーザブリッジの連想ゲームのようになっています。


それが意図されたものかは分かりませんが…。

  • 声に合うかわいいフレーズ
  • 作品に即した単語の羅列

歌詞が明確な意味や構成を持っていなくても、この2つがあると聴きごたえのある曲になるんだな…と肩の力が抜ける歌詞でもあります。

アニソンの歌詞は作品に即したものとそうでないものがあります。

今回紹介したものは「少女S」以外は作品に即していますね。

作品のどの部分を切り取っているのか、または、作品とは一見関係なさそうだけど作品に当てはめるとどういうことだろう?と考えながら聴くのもまた歌詞を読む楽しさでもあります。

作詞をする側にとっても、あるテーマに沿って歌詞を書くときにどれだけテーマに寄せればいいのか、またはどんなアプローチ方法で書けばいいのか、というのはアニソンを聴くとかなり勉強になったりします。

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