学生の時から歌詞に強い興味を持ち、Piaproで作詞をしつつ歌詞考察ブログを運営しているイツカです。
今回は、「作詞家」になるにはどうしたらいいのか、そもそも現代における作詞家の形はどんなものがあるのか、解説していきます。
最初に、現代における作詞家の種類を紹介していくので、「作詞家のなりかただけ分かればいいんだけど・・・」という方はもくじのリンクから飛んでください!
作詞家の種類
作詞家と言えば!「職業作詞家」
まず「作詞家」といえば、松本隆さんや及川眠子さんのように、作詞をメインに活動される方を思い浮かべるのではないでしょうか。
及川さんの著書「ネコの手も貸したい」では、作詞で生計を立てている人を『職業作詞家』と呼んでいます。
しかし、「職業作詞家はもういない」とも言っています。
それは「今の若い子の作詞スキルが足りない!」という意味ではなく(むしろ及川さんは若い方の書いた歌詞を著書内でいくつも褒めています)、作詞だけで飯を食える時代ではないということです。
このあたりの事情は、「アーティストなどへ歌詞提供」の中で詳しく説明します。
現代の作詞家
とはいえ、今はいろんな形の作詞家がいます。
何も『職業作詞家』だけが歌詞を世に出せる、というわけではないのです。
シンガーソングライターやバンドの作詞担当者だって、作詞家です。
ラップバトルをするHIP HOPERも、作詞家の1つの形です。
秋元康さんのように、アイドルのプロデューサーさんが歌詞を書くことも多いですよね。
ボカロPさんだって、作詞家です。
私のように趣味の範囲で歌詞を提供して、作曲者さんや絵師さんと動画作品をつくる作詞家もいます。
…ここまででお気づきの方もいるかもしれませんが、そう、作詞を「専業」にしている人って、今はほとんどいないんです。
その代わり、作詞もする作曲家、作詞担当兼プロデューサー、歌詞を書くコピーライター、サラリーマン作詞家などなど、肩書にとらわれずいろんな人が「作詞」をしている時代です。
ここから先は、
「作詞家」という形にとらわれず、
どにかく自分が書いた詞を曲に載せたい!
という方に向けて、現代の作詞家事情を交えつつ、作詞家のなりかたを解説していきます。
アーティストなどへ歌詞提供する作詞家
「作詞家」と聞いて思い浮かべる形がこれでしょう。
先ほども言及しましたが、いわゆる「職業作詞家」で、現代は非常に狭き門となっています。
アーティストへの歌詞提供の流れ
事務所に所属するアーティストへの歌詞提供は、基本的にはこんな感じです。
クリエイター事務所へ応募
↓
合格
↓
コンペの情報が来るようになる
↓
コンペに応募
↓
選ばれれば歌詞が使われる
まずは事務所に所属しないと、メジャーアーティストへの歌詞提供の機会すらないのです。
昔は一般公募もあったみたいなのですが…
昔よりは「事務所所属の作詞家」へのハードルは高くなったのかもしれません。
事務所への応募
とはいえ、応募する機会はいくつもあります。
有名なソニー、山下達郎さん所属事務所のスマイルカンパニーなどなど、「作詞家 募集」で検索すると、随時募集をかけている事務所がヒットしますよ。
「どうしても作詞家になりたい!」というかたは、一度応募してみるのはいかがでしょうか。
自分で作詞するアーティストが多い
今はシンガーソングライターと言って、作曲はできなくても作詞は自分でできてしまうアーティストが多いです。
aikoさん、西野カナさん、米津玄師さん、あいみょんさん、…..
平成に入ってからのメジャーなソロアーティストの方は、もうシンガーソングライターが大半です。
で、でも、自分で作詞しない
アイドルグループも多いよね!
たしかにそうです。
しかし大御所グループのAKBグループや坂道グループなんかは、秋元康さんがほとんど歌詞を書いちゃってます。
ハロプロも、つんく♂さん作詞がメインですね。
ジャニーズの作詞事情
ジャニーズはまだまだ作詞家さんによる歌詞提供が多いように見えます。
しかし、よくよく調べてみると、もともと音楽活動をしている方の提供が多いんです。
SMAPの代表曲「世界に一つだけの花」は歌手の槇原敬之さん作詞です。
KinKi Kidsの楽曲も、アルバム曲ですら山下達郎さんや久保田利伸さん、イエモンの吉井和哉さんなどそうそうたる有名アーティストが作詞を手がけています。
さらに、アルバム曲やカップリング曲では、ジャニーズアイドル本人が作詞をすることもありますよね。
KinKi Kidsの堂本剛さんなんかは、ソロ名義のENDRECHERIの楽曲ほぼ全て、ご自身で作詞しています。
まだまだ作詞家の入り込む余地があるように見えるジャニーズも、実はもう作詞家の需要は少ないんです。
ネットから発信する
シンガーソングライターになる
今までお伝えしてきたのは、あくまで「アーティストに歌詞提供する作詞家」の場合の話です。
現代はシンガーソングライターが多い?
なら、自分がシンガーソングライターになってしまう!というのも、一つの手です。
…冗談ではなく、本気です。
だって今は、Youtubeやニコニコ動画、TikTok、さらには音声配信アプリの人気も後押しし、無名アーティストが発信する機会はたくさんあるのです。
もちろん作曲も必要になってきますが、なにもDAWをいじらなくても、弾き語りだけでも立派なアーティストです。
作曲はどうしても無理!なら、ツイッターで作曲を募集してしまうのも手です。
作曲をするなら、より音楽に対する理解も深まります。
作曲は諦めて作曲者さんに依頼すれば、クリエイター同士のつながりが作れます。
「シンガーソングライターになる」と言うと難しそうですが、それはそれでいろんな道が開けていろんな経験ができますよ。
ものは考えようです。
ボカロPになる
歌とか上手くないんだよなぁ…
歌詞は作りたいけど、歌は歌いたくない!
そんな人はボカロ曲に歌詞を提供するのもおすすめです。
●ボカロとは:VOCALOIDのこと。初音ミクなどの人工音声に歌詞を載せて曲が作れる。
メジャーで大人気の米津玄師さんだって、最初はハチという名前のボカロPとして活躍してたんです。
ボカロPというと、DTMやら調声やら動画編集やら大変そうですが、作詞だけ担当してもいいのです。
私もボカロ曲に歌詞を提供している、一種のボカロPです。
ネットで配信するメリット
どんな形であれ、作詞家志望の方がネットで配信してみるっていうのは、けっこうメリットだらけだと思うんですよね。
①チャンスはいきなりやってくる
最近はネットで自作曲を配信して有名になる人も多いですよね。
若い方に人気のまふまふさんはニコニコ動画で活動していて、歌い手のそらるさんとともに曲を出したりしています。
2020年突如ブレイクしたyamaさんも、もともとネットで活動していた方だったようです。
また、「香水」で大ブレイクした瑛人さんも、ネットから人気に火が付きました。
そもそも、どんなに素敵な歌詞を書いていたとしても、誰にも見られなきゃ誰にも評価されませんから。
もしかしたら、何気なくネットにアップしたあなたの歌詞が、次の日思いがけない人数に評価されるということがあり得てしまうのが、このネット社会というものです。
②ポートフォリオになる
ネット社会の波は激流です。
チャンスは急にやってきて、一瞬のうちに消え去ります。
ライバルに秒速で奪われることもあります。
…つまり、何が言いたいのかというと。
ポートフォリオ(作品集)を作るという意味で、歌詞をネットにアップしておくことで、突然現れたチャンスを掴むことができるのです。
私も作品をネットにあげていてよかったなと思うことが何度もありました。
たとえば、ネットで「歌詞募集しています」という方がいたとき、「こんな歌詞作ってます!」とPiapro(楽曲を作る人が集まるサイト)の自分のページを送り、歌詞提供が決まりました。
こんな風に、いつ、どこにいても、ネットに作品を置いておけばすぐに「自分はこういう歌詞を書いてます!」と自己紹介ができて、チャンスを掴む結果になります。
③データが取れる
データと言っても、統計を取ってグラフを書いて…なんて難しい話ではないですよ。
作詞作曲した曲を5曲、ニコニコ動画にアップしたとしましょう。
その中のHipHop系2曲が100回再生、ジャズ系が20回再生だったとしたら、「今はHipHopが人気なのかな」というデータが取れます。
他にも、「サムネを絵師さんに頼んだら再生数が伸びた」「同じ動画でも、Youtubeよりニコニコの方が再生数が多い」など、自分で発信しないと分からないデータが得られます。
そうやって試行錯誤していく方が、単に事務所に応募しまくるよりも学びが多いかもしれませんね。
歌詞を販売する
coconaraで作詞スキルを販売できる
「得意を売り買いココナラ♩」
のCMでおなじみのココナラというアプリでも、作詞の案件はあります。
作詞家としてプロフィールを登録
↓
「作詞募集」の案件に応募
↓
応募が通り、歌詞を提供する
↓
案件が終了したらお金をもらう
という流れです。
ただ、今はプロの作詞家やcoconaraをすでに攻略している人が多く活躍していて、作詞家として新規参入するのは難しそうです。
今からココナラで活躍したいなら、実績を作ってから参入するのが得策かもしれません。
歌詞+αが求められる時代
また、ココナラでは「作曲と作詞」や「ラップと歌詞」など、作詞+αの募集が多く見受けられます。
そして案件を見る限り、用途はYouTube用のBGMやオープニング、エンディング曲が多いようです。
つまり現代事情を分析すると、
「動画配信をしたい人が、そこで使う曲を求めている」
という状況です。
そう考えると、募集する人の気持ちになってみれば、
「作詞者と作曲者を別々に頼むのはめんどくさい」
ということも容易に想像がつきますよね。
作詞者が作曲も担当するとなると、作曲技術や音楽知識が必要になり、急に作曲も対応するというのは不可能に近いです。
一方で作曲者は、歌詞にこだわりが無ければ、メロディにただ知っている言葉を載せればいいだけなので、誰でもできてしまいます。(もちろん歌詞にこだわりがなく何でもよければ、の話です)
そうなると作詞専業の人は、作曲専業の人よりも不利になりがちです。
…夢を壊すようなことばかりで申し訳ないですが、ココナラはあくまで選択肢の一つであって、メインの活動の場として初心者が選ぶにはハードルが高いです。
現代の作詞家事情まとめ
現代は、自分の作品を発信する方法が多く、歌詞を世に出すチャンスがどこにでもあります。
それはつまり、ライバルも多いということです。
ライバルが多いなかで、作詞+αの力でライバルを越えなければ、作詞家として選ばれません。
作詞+αというのは何も難しいスキルだけではありません。
「発信方法を模索する」
「毎日『作詞募集』で検索してチャンスを増やす」
「インディーズアーティストに歌詞の営業をかける」
「まずはツイッターで有名になる」
などなど、粘り強く活躍の場を手にすることが大事です。
私もこうやって仕事をもらったりしています。
現代で作詞家になるには、まずは「自分がどういう活動をしていきたいのか?」ということを考えて、そこから自分の行動やスタイルを模索していくしかないです。
現代の作詞家が、作詞スキルと共に求められるものは、「戦略」と「粘り強さ」なのかもしれないというのが、私の見解です。