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歌詞を作るのに才能は必要?いわゆる”作詞センス”を解説!

Piaproなどで3年間、作詞を担当しているイツカと申します。

先日、友人に作詞をしていることを告げたとき、こんなことを言われました。

友人

作詞できるなんてすごい!才能があるんだね!

・・・フフッ、悪い気はしない。

悪い気はしないのですが、どうやら、作詞という行為に高いハードルを感じている人が多いような気がします。

そこで今回は、

才能もセンスもない、

特筆すべきスペックもない、

語れるほどの恋愛もしてない、

そんなごく普通の人でも

歌詞は書けるのか

という話をしていこうと思います。

才能は誰にでもあるし、誰にもない

作詞の才能は誰にでもある

結論、作詞のセンスや才能って、誰にでもあります。

生まれてから今この記事を読むまでに、なんの悲しみもなんの苦しみも、喜びも驚きもなかった人なんていません。

感じたことを、存在している言葉を組み合わせてメロディに乗せるのが「作詞」です。

いやむしろ、存在しない言葉=造語を使う歌詞だってありますし、メロディに乗せず語り口調の歌詞だってたくさんあります。

感じたことがあるならば、それを「歌詞」という形にしていけばいいだけなのです。

「文学の才能ないからなぁ」「センスも語彙力もないから作詞は無理」「理系だから歌詞は書けない」という方もいます。

が、歌詞のスタイルは自由過ぎるので、「〇〇じゃないから無理」と決めつけるのは早計すぎます。

理系だろうが、ダサかろうが、語彙力なかろうが、国語の偏差値が18だろうが、誰にでも作詞の才能は存在しているというのが私の持論です。

天才奇才よりも普通の人の方が作詞に向いているのでは?という考察もしたので、こちらからご覧ください。

作詞の才能は誰にもない

一瞬で矛盾してすみません。

でも、初めて作詞したときに分かります。

「あ、作詞って無理じゃね」

と。

作詞って、詩や作文と違って学校で習わないから、やったことない人が多いんですよ。

つまり、「みんなもこの程度のレベルか」と感じる機会がなく、比べる対象はプロが書いた歌詞しかない場合が多いため、センスのなさに絶望しやすく、「作詞」のイメージに対するハードルが高くなりやすいのだと考察しています。

しかも歌詞は、誰もが書いたことのある「作文」とは違って基本的に「メロディに乗せる」という前提があるため、初めて作ったときの難しさ、自分のセンスのなさに泣きますよね。

しかーし。

「センス」関連はみんなそうです。

服のセンスも、子供の頃は「好きな色」「好きな素材」で選んでいたのが、色の組み合わせやヘアメイクとのバランスを学んで、磨かれていきます。

絵のセンスも、体系のバランスや遠近法の感覚などを学んで練習しないと、違和感だらけの絵にしかなりません。

技術だけでなく「感性」「芸術」が絡むものは誰にも最初は才能なんてなく、逆に誰にでも才能の種は見いだせる、ってことです。

そもそもセンスとは?

センスには2種類ある

センスがあるとかないとか、そんな曖昧な価値基準で自分のできることを制限してしまうのはもったいないです。

だって、そもそもセンスの定義をきちんと考えたことがありますか?

「順位をつけられない」ものが「多くの人に受け入れられた」あるいは「人の期待を越えた」ときに”センスがある”と言われる傾向にあります。

水野学さん著書の「センスは知識からはじまる」でも、以下のようなことが言われています。

「センスのよさ」とは、数値化できない事象のよし悪しを判断し、最適化する能力である。

水野学, 2014「センスは知識からはじまる」

「順位がつけられず」「数値化できない」、つまりナンバーワンが「センスがある」とみなされるわけではないのです。

また、”センスがある”の基準について、「多くの人に受け入れられた」あるいは「人の期待を越えた」と述べました。

そう、センスには2種類の基準があり、どちらかを満たせば”センスがある”とみなされるのです。

センス①:多くの人に受け入れられること

場合によっては数値化でき、ある意味、科学的ともいえる判断基準です。

センス①の具体例

音楽:人が心地よいと感じるコード進行

服装:体型、ヘアメイク、色、素材のバランスが取れている

作詞で言えば、こちらは西野カナさんが代表的ではないでしょうか。

難しい言葉を使わず、多くの人に理解されやすいワードチョイスはセンスの塊です。

共感を集める歌詞の秘密は、ファンからの手紙やアンケートを元に作られているとファンの方から聞いたことがあります。

メロディに合った歌いやすい歌詞の載せ方もセンスがあると言えるでしょう。

また、作詞センスの高い人気バンドであるチャットモンチーの流行曲「風吹けば恋」も分析してみましょう。

サビの部分、アクセントが「た!」「が!」「ら!」に来ています。

これらすべて、口を大きく開けて発音する「あ行」だということに気付きましたか?

あ行にアクセントが来ることで、聴いた時に印象に残りやすく、歌う時にも気持ちいい発音になります。

またこの歌詞は当時シーブリーズのCMで流れていて、中高生を中心に流行しました。

それもそのはず、歌詞には「努力」「流行り」「走る」など、多くの中高生の生活の中心にあるワードが含まれていて、非常にとっつきやすく共感しやすい歌詞になっているのです。

詳しい歌詞考察はこちらでしております。

これらの例を見ると、「センスがないから作詞はできない」が幻想だったと思いませんか?

わかりやすい言葉は誰にでも書けますし、共感されるエピソードもSNSなどを分析するとわかります。

私のように歌詞の考察記事なんかを見ても勉強できますね(宣伝)。

印象に残る音のハメ方も、今は調べればたくさん出てきます。

センス②:人の期待を越えること

期待を越えること。

「普通以上のこと」「他の人とは違うこと」とも言い換えられます。

センス②の具体例

音楽:常識破りなコード進行

服装:一般的でない小物や、まだ流行していない組み合わせを取り入れること

作詞においては椎名林檎さんが、このセンス②において語るべき存在です。

「正しい街」という楽曲がありますが、まずタイトルもセンスありますよね。

街に正しいも間違っているもないじゃないですか。

さらに歌詞の中で、都会の「匂い」が正しくないと言っていますが、普通、匂いにも正しい正しくないなどと言いません。

でも歌詞の意味は伝わりますし、主観的に「匂いが好きじゃない」と言うよりも、客観性を持たせて「正しくない」と言った方が、「あたし」のひっ迫した苦しみが伝わります。

こういった「普通じゃない使い方」や、「普通の言い方よりも感情が伝わりやすい」表現のことを、作詞における「センス」と呼ぶ傾向にあります。

「センス」は誰でも作れる

センスとは、分析と真似で作る

天才

あれっ、分析して真似してみれば、センスは磨かれるのでは・・・?

そうなんです。

センス①(多くの人に受け入れられる)も、センス②(期待を越える)も、誰でも手に入る能力だということが分かります。

多くの人に受け入れられる歌詞を作るには、すでに受け入れられている歌詞を分析したり、作詞家の方の著書を読んで勉強し、実際にやり方を真似してみればいいのです。

期待を越える歌詞も、あなたの衝撃を受けたフレーズを分析し、言葉選びを真似してみればいいのです。

私もセンスのない作詞家です。

だからこそ、いろんな歌詞や印象に残ったセリフなどを分析し真似してみることを繰り返して作詞をしています。

確かに、歌詞の分析は人並み以上に深く広くしていて、それを「センス」「才能」と言っていただけているのかもしれません。

しかし、それも結局、練習すれ誰にでもできることなのです。

分析した軌跡は、このサイトにも「歌詞考察」として載せているので、分析のしかたならぜひパクっていみてください!

真似ることはパクリじゃない

「残酷な天使のテーゼ」を書いた作詞家、及川眠子さんの著書「ネコの手も貸したい 及川眠子流作詞術」で、まさに「パクリをやってみる」章があるのです。

その中で、こんな話があります。

私自身も、中山ラビや加川良の詞に影響を受けて、まずは彼ら彼女らの真似から始めた。

(中略)

やってくうちに自分自身のオリジナリティを作り出しています。

及川眠子, 2018 「ネコの手も貸したい」

この本では、他人の歌詞のパクリ方や、そこから自分の作詞スタイルを作る方法について、超具体的に、めちゃくちゃ親切に書かれています。

さらに、椎名林檎さんやユーミンさん、佐野元春さんに関しても「〇〇っぽかった」と語られていて、ものすごくセンスがある人に見えても、最初は「〇〇っぽい」から入っていたことがよーく分かります。

要は、作詞に限らずですが、何事もまずは良いものを真似して取り入れて、自分のスタイルを確立した人が「センスのある人」になれるということです。

結論:作詞は誰にでもできる

ギターと違って、手先の器用さは必要ありません。

料理と違って、生まれ持った味覚の鋭さも必要ありません。

私は作詞家ですが、「センスがあるから作詞ができる」という自信はぜんぜんないです。

むしろ、誰にでもできてしまうということを身をもって分かっているからこそ、「センスがない」と諦めている人を見るともったいないなぁと思ってしまいます。

まぁ、ライバルが減るのはありがたいっちゃありがたいのですが・・・(笑)

「歌詞」というコンテンツのファンとして私は、「作詞」のハードルがもっと低くなって、次世代の素晴らしい作詞家がたくさん生まれることを願っています!

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