帝京平成大学MADで有名になっちゃった、アニメ「うる星やつら」のED。
こういう可愛くてキャッチーな曲はインターネッツで汚染されるものだと相場が決まっています。
(そこまで含めて好き)
最初に結論
最初に考察の結論を言っておくと、
『あたし』は『あなた』のことが好き。
でも『あなた』には他に好きな人(または恋人)がいる。
そしてさらに、『あたし』にも他に男の影がある。
…のではないかと考察しました。
あくまでも考察ですが、順を追って私の考察を解説していきます。
1番:『あなた』と『あたし』の状況は?他に女がいる
あなたにもわすれたいことかなしいこと
作詞:ツミキ
あるのかしらね
『あたし』は『あなた』に対して、悩みのない飄々とした人物であるという印象を抱いているのでしょう。
他のフレーズではちょいちょい難しい漢字を使うのに「わすれたい」「かなしい」がひらがな。
なんとなくちょっと、おちょくってるのかな?という感じがします。「あるのかしらねぇ、いや、どうせないやろ(反語)」的な。
識らない映画なのに涙をながすのは
作詞:ツミキ
ドラマチックが足りていないからよ
「知る」と「識る」は違うのですが、なんか偉い人のブログがすごい分かりやすかったです。
いわく、
「知る」は単に「見た」「触れた」というだけで一瞬は頭に入ってもすぐに消えてしまう可能性があるが「識る」は頭に納められ、培うものである。
自分の生き方、考え方、性格、経験に応じて自分なりにその知識を吸収していってはじめて本物になっていく
「学びて思わざればすなわち暗し」
要するに、「識る」というのは「知っていて、かつ自分のモノにしている」という感じ。
歌詞に戻ると、『あなた』は識らない映画で泣いていたようです。つまり、その映画の人物の感情を本質的に理解しているわけでもないのに涙を流している。
映画って、人生経験が増えれば増えるほどいろんな感情になりますよね。もちろん泣ける映画もあるけど、ドストレートなお涙頂戴は逆にリアリティが無くて醒めるわwみたいな。
『あたし』も、悲恋モノの映画を『あなた』と一緒に見ていたのでしょう。
『あたし』からしたら「識らない=こんな状況あり得へんやろw」って感じのお涙展開で、『あなた』はまんまと泣いていた。
『あたし』の方が恋愛で感情を揺さぶられた経験が多いのでしょうね。(主に対『あなた』?)
『あたし』にとって、「『人生に感情を揺さぶられる恋愛=ドラマチック』が足りていないから泣けるんだねぇ」という嫌味もぶつけたくなるような『あなた』なのでしょう。
そんな愚にも付かないこと
作詞:ツミキ
くだらないこと考えてばかりね
…そうやって嫌味ったらしいことを考えてしまう自分に嫌気が差す、といったところでしょうか。
雨が上がれば愛もその横顔も
作詞:ツミキ
誰かのものになるのでしょう
ここで、『あなた』に対して『あたし』が嫌味をぶつけたくなっていた原因が分かりました。
『あなた』は他に恋人がいるのだと考えられます。
「うる星やつら」のラム→あたるみたいですね。
『雨が上がれば』ということですが、この雨は2つの意味で考察しました。
(…というのも、状況がくっきり説明されてるわけではないので、考察の域を出ないんですよね…)
- 雨=涙
- 雨=恋人とのトラブル
まず1つは「雨=涙」。
さっきの映画で流している涙です。
雨が上がれば=映画を見終われば、『あなた』は誰かのもとに帰っていくことを『あたし』は知っているんですね。
もう1つは「雨=恋人とのトラブル」。
多くの歌詞において、『雨』というワードは「マイナスな感情」の表現に使われます。
今は『あなた』は恋人とケンカか何かで都合よく『あたし』のもとに来ているけど、雨があがれば=そのトラブルが解決すれば、また恋人のもとに戻るんでしょ、という状況。
まぁあえてザックリな歌詞なので、ザックリと「『あたし』以外に女がいるっぽいな」という理解で間違いないと思います。
嘘っぱちのファンデーションも全部
作詞:ツミキ
今夜のためよ
なのに一体全体如何して何故?(はてな)
『あなた』に会うために化粧に気合いを入れたのに!
なんで『あたし』のものになってくれないの!
という心情だと考察しました。
もう~これは女性なら共感ポイントですよね。
作詞のツミキさんは男性ですが。
『嘘っぱち』というのは、毛穴なんて最初からなかったかのように化粧に気合を入れている表現であると同時に、自分の感情にも嘘をついて「別にあなたなんて好きじゃないですよ」という余裕を装っているのではないかと解釈しました。
好きだとバレるとナメられるから…といってもすでにナメられているような気もしますが。
なのに一体全体如何して何故?(はてな)
作詞:ツミキ
このフレーズ、めっちゃ恋する女の子な感じがします。
「どうして?」「なぜ?」「はてな?」
もう言葉の限りを尽くして表現したくなるほど、自分の恋心って分からなくないですか?
どーでもいい人には素直になれるのに、好きな人には遠慮しちゃう。どーでもいい人には「えーおごってくれるんですか?嬉し~!」とか可愛い反応できるのに、好きな人には「いや、払うし!てか奢ってくれなくても会うし!」とか可愛くない反応しちゃう…みたいなね。ひーん。
不安定なカンテラ何処まで行くの
作詞:ツミキ
あなた一切合切放り去ってもう
『カンテラ』というのは、冒険や探索をするときに持ち歩くランプのようなもの、のイメージが強いです。
不安定に揺れるカンテラのように、追いかけても手が届かないし、どこまで行けば掴めるのかも分からないめっちゃ不安な恋愛感情だなぁと感じるフレーズです。
で、さらに『一切合切放り去って』と言っていますが、これは中途半端に『あたし』にちょっかいかけるのを止めてよと言いたいのだと解釈しました。
トウキョウ・シャンディ・ランデヴとは
冗談じゃあないわ
作詞:ツミキ
トウキョウ・シャンディ・ランデヴ
その時が来たってどうにもならないぜ
さてサビですが。
まずランデヴー(rendez-vous)はフランス語で「待ち合わせ」や「デート」の意味。日本では後者の意味で使われることが多いですね(主に昭和歌謡や昭和の漫画で)。
シャンディ(Shandy )と聞いて思い浮かぶのがジンジャエールとビールを混ぜたお酒の「シャンディガフ」。略してシャンディと呼んだりしますが、そもそもの「シャンディ」の意味は「混ぜ合わせる」だそうですね(wiki調べ)。
総合すると、「都会の大人のデート」。
東京やランデブーというワードも、お酒の名前も、昭和歌謡でよく登場します。「トーキョーシャンディランデヴー」というフレーズ自体に大きな意味があるわけではないと思いますが、このフレーズと歌謡チックなコード進行もあいまって、レトロな雰囲気を生み出すのに一役買ってます。
タイアップ作品の『うる星やつら』も昭和の人気アニメですしね。
曖昧な本当なんてメランコリ化するだけ
作詞:ツミキ
あたしをさあかっさらって今テイクオンミー
『曖昧な本当』というのは、付き合ってもいないけどデートをするような、友達以上恋人未満のまさに曖昧な現実のこと。
そんな現実では『メランコリ化』=憂鬱になっちゃいますよね。
だから『曖昧な本当』の反対である”ハッキリした嘘”がほしい。つまり、付き合ってるかのように私を『テイクオンミー(=take on me)』=どこかへ連れ出して!という嘆き。
2番:『あたし』の気持ちは?他に男がいる?
1番では状況が描かれていましたが、2番では『あたし』の気持ちがバーっと吐露されています。
『ちゃんちゃらおかしな』『どんがらがっしゃん』など、2番でも昭和チックな用語が登場し、アニメに合わせた世界観が垣間見えるカラフルな歌詞です。
はあ
作詞:ツミキ
ちゃんちゃらおかしな法度ばっかで
食指がびくともしないわ
実態の無い感情放っておいたって
策略なんてありゃあせんのに何故
ああもう懲り懲りよ
あたしの喝となる気質も
じっと堪えて取り繕っては
とうとう臨界点
要するに「いい加減はっきりしろ」。
…と考察したんですが、一つ一つひも解いていきましょうか。
『法度』は「世の中的に良くない行い」のこと。
この歌詞で言えば、他に女がいる(っぽい)のに関係を持ってることでしょう。
他に女がいるのに『あたし』に手を出す男に対し、食指が動かない=お前なんか興味ねぇよと強がってます。(食指が動く:興味が沸くという慣用句)
『実態のない感情』は、『あなた』が『あたし』に恋心など抱いていないということではないでしょうか?『あなた』からの恋心は、『あたし』の妄想や理想のなかだけの感情ってことです。
で、そんな『実態のない感情』を実態のある感情にする=自分のことを好きになってもらうための『策略』なんて『あたし』にはありません。別に好きになってもらおうとか、そんなんじゃないから!と強がっているように見えます。
さらに、最後の『何故』が肝。
『あなた』になんて好きになってもらう必要ないのに!なのに!なんでこんなに苦しんでるんだろう!…の、『何故』だと考察しました。つまり、自分は『あなた』に気があるという自覚が少しあるようです。
そんなあなたにカッとなってしまうも、それを『取り繕って』きた。嫌われたくないもんね。
でも、それもとうとう臨界点突破=(比喩的に)我慢も限界が来たようです。今まで嫌われないようにしてたけど、もうこうやって弄ばれるのもムカついてきたぞと。
年がら年中リップサービス鈍感カマしては
作詞:ツミキ
辟易(へきえき)
どんがらがっしゃんフィールガールは
涙の目にも鬼
『リップサービス』はお世辞のこと。「すごーい!さすがー!」みたいなこと言って、『あなた』に好かれようとしていたんですかね。
そういうのをバカらしいと思いつつも『鈍感』を装っていたけど、『辟易』=疲れちゃった。
『どんがらがっしゃん』は、人がコケたときの、昭和の漫画とかの効果音ですが、ここではこっちの思いやリップサービスが相手の恋心に結びつかず、空回りしている様子だと解釈しました。
『フィール』はfeel=感じる、つまり、先ほどの『鈍感』を装っているのとは裏腹に、『あなた』とのやりとりで自分に興味ないことをヒシヒシと感じてめっちゃ傷ついてる、という表現でしょうか。
『涙の目にも鬼』は、言うまでもなく「鬼の目にも涙」ということわざをもじったもの。いつも『あなた』に思いが伝わらなくて泣いているばかりの私じゃないのよ!プンプン!と、キレ気味です。でもなんか分かる笑
「鬼」というワードは「うる星やつら」を想起させますね。
今や頭の中のミュージックのせいで
作詞:ツミキ
あなたの話は一向に聴き取れない
少しは真当なこと言って
『ミュージック』に関しては解釈が難しいですが、『あなた』以外の魅力的なものの比喩ですかね。その『ミュージック』があるからこそ、さっきまで「スゴイスゴーイ!」とリップサービスしてた『あなた』の話が余計にアホらしくなってきたと解釈しました。
クソ男の話ってその場のノリだけで生産性がなくてほんとつまんないですよね。
これは根拠の薄い妄想ですが、もしかしたら『あたし』には言い寄ってきてくれる男性が他にいるのではないでしょうか。妄想はこの後の歌詞にも続きます。
回り出すターンテーブル
作詞:ツミキ
ねえ全部忘れさせてよ
『ミュージック』に続いて『ターンテーブル』と、音楽用語が出てきました。
『ターンテーブル』は、レコードを流すやつとか、DJがクラブなどでチュクチュクやってるやつです(全国のDJの皆さん怒らないで)。
『回り出すターンテーブル』というのは、それすなわち『ミュージック』が始まるということ。
これも妄想ですが、『あたし』は他のまともな男性と付き合おうとしている、いうなれば、他の男性を好きになろうと頑張っているのではないでしょうか。フラフラしてる『あなた』を忘れるために。
だけど一体全体如何して何故?(はてな)
作詞:ツミキ
不安定なカンテラ消えないままね
あなた一口両舌食い違ってもう
『ミュージック』であなたへの好意が薄らいでクソさが目立ってきたのに、それでもやっぱり『カンテラ』は消えない=『あなた』への思いは断ち切れない。なんでよ!ムカつきますよね~
『一口両舌』というのは、前と言ってることが違うじゃねーかよ!ということ。『あなた』のテキトーさが分かります。というか2番の歌詞でなんか思い浮かびますよね。こういうテキトーな遊び人みたいな男の姿が。
妄想が続いて恐縮ですが、これ、『あなた』は『あたし』に男の影が見えて、キープしようとしてきたんじゃないですかね?
『一口両舌食い違って』いるというのも、今まで「お前みたいなオトコ女なんか興味ねーよ」って感じだったのが、最近は「お前のことちゃんと女だと思ってるよ」と言ってきたりとか…。そういう男性、いますよね。
ミュージック、イエローマジック、トウキョウの関係
不甲斐ないわ
作詞:ツミキ
感情なんてランドリーで落とすだけ
あたしと確かめ合ってイエローマジック
ここでいう『感情』って、今夜のためにファンデーションを頑張ってきちゃうような『あたし』の恋心ですよね。
服についたファンデを洗い落とすように、そういう恋愛感情や「なんで分かってくれないの!」という不甲斐なさも洗い落としちゃうという、秀逸な表現です。『落とす”だけ”』と言ってますが、なかなか服についた化粧は落ちないし、恋心も消えませんけどね…。
で、気持ちを確かめ合おうと。
本当は『あなた』は『あたし』のこと好きなんだろ?
だから『あたし』にちょっかい出してるんでしょ?
自分の気持ちに素直になれよ!
と、言いたいのでしょう。
『イエローマジック』と聞いて思い浮かぶのが「イエローマジックオーケストラ」です。そしてそのバンド名の「イエローマジック」は、「白人でも黒人でもない、我々黄色人種の音楽」という意味だそうな。
『ミュージック』が他の男性だとしたら、そして、それを『あたし』と『あなた』の世界の外=外国の曲に例えるとしたら、『イエローマジック』を確かめ合おう=二人の愛を確かめ合おうというのも納得がいきます。
トウキョウ・シャンディ・ランデヴ
作詞:ツミキ
その時が来たってどうにもならないぜ
曖昧な本当なんてメランコリ化するだけ
あたしをさあかっさらって今テイクオンミー
直前の考察から考えると、『トウキョウ』って、「海外じゃない=『あたし』と『あなた』の世界」と捉えることもできます。
『かっさらって』も、海外=他の男とくっつきそうな私を連れ去ってという意味にも考えられます。
あれ、この考察、あながち間違ってないのでは?
まとめ
というわけで、私の解釈としては
「好きな男が振り向かないから他の男を好きになろうとしたけど、やっぱ好きだし、あいつの態度はフラフラ変わるし、なんなのよ~」でした。
結論もオチもないですが、恋愛ってそういうものではないですか?会わなくなってフェードアウトしたり、なんだかんだ片思いして10周年みたいなこともありますよね。
けっこう抽象的・比喩的な表現が多く、「これだ!」としっくりくる考察は正直浮かばなかったです。一週間くらい頑張ったんですけどね、これが精一杯でした。
でもこれだけ「言葉」で昭和トレンディな情景をカラフルにキラキラに表現できるって、すごいですよね。「トウキョウシャンディランデヴ」というフレーズだけでもおしゃれ気分味わえますもん。