1981年に発売され、実に40年もの間愛されている『君は天然色(天然色)』。
歌と作曲の大滝詠一さんの楽曲は最近サブスクでの配信が開始されたことでも話題に!
さらに本楽曲を作詞された松本隆さんのトリビュートアルバム『風街に連れてって!』でも収録され、川崎鷹也さんが歌唱しています。
ググれば出てくる情報をまず紹介
歌詞考察なので、ググった情報をまとめるだけではなんの意味もありませんよね。
ただ、「本当はこういう事情だからこの考察は違くない…?」と思われるのも癪なのでこんな歌詞の意味や逸話もあるんだよ~というのも知ってもらいたいので紹介します。
亡くなった妹さんを想って書かれた歌詞である。
多くのCMに使用されている。
アニメ「かくしごと」のEDに使用された。
こういう逸話があるのを知った上で、それとは別に純粋に歌詞だけの考察をしていきます。
「君」との関係
元恋人関係
くちびるつんと尖らせて
作詞:松本隆
何かたくらむ表情は
別れの気配をポケットに匿していたから
「辞表」をイメージしてしまいました。
別れたいけど、言い出せない。
そんな君の複雑な想いに、別れてから気付いたようです。
「別れ」という言葉から、二人はもともと恋人だったことがうかがえます。
「別れ」は卒業とか死別などもありますが、「たくらむ」ことのできる意図的な別れは基本的に恋愛の別れですね。
お互いにラブラブだった
夜明けまで長電話して 受話器持つ手がしびれたね
作詞:松本隆
耳もとに触れたささやきは 今も忘れない
手がしびれるほどの長電話。
スマホと違ってずっと耳にスピーカー口にマイクを当てていなきゃいけないので、疲れますよね。
でもそれは相手も同じ。
腕が疲れるまで電話をし続ける二人だったということですね。
さらに電話の声って耳元にダイレクトに入ってくる。
しかも夜中だから周囲もうるさくない。
だから相手の声=ささやきは別れた後も忘れにくいんですよね…。
「色」に関する表現の考察
モノクローム
想い出はモノクローム 色を点(つ)けてくれ
作詞:松本隆
もう一度そばに来て はなやいで
美(うるわ)しの Color Girl
想い出、つまり君とのできごとが過去になってしまっています。
『君』がいないと思い出にも色が点かない。
だから『そばに来て』と願っているんですね。
君がそばにいてくれれば想い出も美しいままでいられます。
今より眩しい
机の端のポラロイド
作詞:松本隆
写真に話しかけてたら
過ぎ去った過去(とき)しゃくだけど今より眩しい
本来、写真よりも今実際に見ている景色の方が明るく見えるはず。
それでも過去の方が眩しく見えるという逆説的な表現で、より切なさを感じます。
『しゃくだけど』というフレーズも、切ないですね。
別れに対して「別に悲しくないし!別れても今楽しいし!」と強がっている男性がホロリと涙を流した姿が想像できます。
虹の幻
渚を滑るディンギーで
作詞:松本隆
手を振る君の小指から
流れ出す虹の幻で 空を染めてくれ
ディンギーはヨットみたいなもののようです(ググりました)。
今はもう『君』に会えないから、せめて思い出の中のディンギーに乗った『君』が空に色を付けてくれという悲痛な叫び。
『君』が今は他の男に手を振っていたとしても、同じ空の下ですからね…。切ない。
雑誌(ほん)
開いた雑誌(ほん)を顔に乗せ
作詞:松本隆
一人うとうと眠るのさ
今夢まくらに 君と会うトキメキを願う
雑誌自体は色に関する言葉ではありませんが、想い出が「モノクローム」であるのに対して雑誌には色があります。
色の付いた雑誌に載っている華やかな世界に、『君』と出かけたい。
たとえ夢の中だけのトキメキだとしても。
そんな諦めのような諦めていないような複雑な心情が見えました。
タイトルの意味について考察
『君は天然色』というタイトル。
自然が持っているそのままの色のことですね。
『君』は天然色であったから、『君』のいないモノクロの想い出に人工的に色を付けることはできない。
つまり、『君』は何にも代えがたいものであったという心情が込められているのではないかと解釈しました。
のん主演映画でも話題に!
のんさん主演の『私をくいとめて!』という映画の劇中歌にもなり、話題になりました。
本サイトでも紹介や考察をしているので、ぜひご覧ください!