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【歌詞考察】やくしまるえつこ「COSMOS VS ALIEN」を真剣に歌詞考察してみた

2010年に発売されたやくしまるえつこさんの楽曲です。

やくしまるえつこさんは人気バンド「相対性理論」のボーカルで、最近は他アーティストへの楽曲提供やナレーターのお仕事されていますね。

今回はアニメ「荒川アンダーザブリッジ」のOPにもなった「COSMOS VS ALIEN」の難解な(?)歌詞の考察記事です。

やくしまるえつこさんの歌詞は「言葉遊びだけで意味がない」と言われることも多く、この歌詞も意味がないのかなぁとずっと思ってました。

でもふと、彼女の歌詞にしては言葉遊びが少ないし意味ありげなフレーズが多かったので意味を見出すべく3日かけて考察してみました。

「COSMOS」と「ALIEN」

COSMOS

タイトルのCOSMOSは、英語で宇宙

UniverseやSpaceよりも哲学的な意味合いで使われることが多いです。

元となったギリシア語は「秩序」という意味を持ちます。

ALIEN

対してALIENは宇宙人異世界人、またはときに「理解できない対象」をエイリアンと形容することもありますね。

COSMOS VS ALIEN

この『COSMOS VS ALIEN』では、

COSMOS - 一般的にこうあるべきという秩序、理性

ALIEN  - それに反する逆説、感情

だと捉えました。

いつもは理性的に、効率的に生きているような人でも、恋をすると相手の人しか考えられなくなったり、生活が乱されてしまいますよね。

まさに、自分のコスモスにエイリアンが攻めてきたような。

いわばエイリアンはいたずら好きな「恋のキューピット」といった感じかもしれません。

秩序と逆説、理性と感情の対立がこの歌詞の主題と仮定して、この曲を考察していきます。

Now you see her, now you don’t

冒頭のよく分からん英語。

「Now you see me, now you don’t」というフレーズがあるのですが、これはマジシャンの決まり文句です。

「今見えてますね?…ほら消えた!」という感じです。

冒頭の英語を意訳すれば、

あの子が見えますか?

…見えません

ここにあの子がいます…ほら消えた!

というマジックや魔法を観ているシーンでしょうか。

もたもたしてたら好きなあの子が他の人に取られちゃうよ、というような感じで解釈しました。

理性の優位が大きすぎてか、プライドが大きすぎてか、恋している自分をちゃんと認めないとチャンス逃しちゃいますもんね。

「ミクロ」と「マクロ」の距離感

ミクロ/マクロ

まず、ミクロとマクロはよく経済学で聞く言葉ですよね。

この曲の中では「ミクロ:個」「マクロ:全体」くらいに考えていいでしょう。

また実は、タイトルにある「コスモス」が付いた「ミクロコスモス」「マクロコスモス」という言葉もあります。

ミクロコスモス人の心や魂

マクロコスモス宇宙全体

距離感と勘違い

それらの「距離感」というのは、「理性と感情のバランス」ってことなんじゃないかと思います。

理性的すぎてもつまらないし、感情に傾きすぎて欲に溺れれば身をほろぼす。

恋愛において、そのバランスって難しいですよね。

そのあとの「勘違い」というのは、恋愛そのもの。

恋愛は脳の勘違いとよく言われます。

「恋は盲目」とも。

「宇宙規模での勘違い」というのは、秩序や論理を越えて「でも好き!」となってしまう「恋」そのものを表しているのでしょう。

「アダム」と「イブ」

キリスト教のアダムとイブ

キリスト教の聖書に登場する、神の作った初めての人間の男女です。

簡単に言うと、アダムとイブは神様に「食べちゃダメだよ」と言われていた禁断の果実を、蛇にそそのかされて食べてしまいました

その結果、2人とも神様に怒られて楽園を追放されてしまい、その子孫である我々人間は罪を背負うことになり、女は出産の苦しみ、男は労働の苦しみを課せられてしまったんです。

また、果実を食べたことで賢さが身に付き、「恥」を覚えました。

このままでいいんじゃない

歌詞に戻ると、そのアダムとイブが「再来」するならば、猫も杓子も=誰もがみんな、このままでいいと。

欲望にかまけて結局罪を背負うことになるなら、いっそ愛のままにわがままに恋愛しちゃえってことだと解釈しました。

そのあと、「よく見て」「欲張って」と続きますが、まさに前述の通りですね。

これはアダムとイブの逸話で言うところの「蛇」でしょう。

アンバランス

「ミクロ」と「マクロ」の距離感が、理性と感情のバランスではないかという話をしました。

胸のトキメキのアンバランスというのは、そのバランスが崩壊している状態でしょう。

わらを掴んで離さない

「わら」というのは、「溺れる者は藁をも掴む」ということわざから取った「わら」でしょう。

要するに、恋愛感情に溺れてしまって、「こんなはずじゃないのに!助けて!」という状況でしょう。

へそでお茶を沸かす

笑っちゃう、ということですね。

そもそもその前に出てくる「アダムとイブの勘違い」というのは、罪への意識についてではないかと思います。

アダムとイブは欲望に負けてしまいましたが、そもそも「欲望に負けてしまってはいけない」というのが勘違いなのではないか?ということです。

人間は欲望に溺れてしまうもの。

それが間違いだというのは、単なる勘違い。

だから、欲望に負けてしまうことにそんなに罪の意識を感じずに、笑っちゃうくらいでいのでは?ということですね。

トークのDTM

「BPM」と「DTM」

BPMやDTMはどちらも音楽関連で使われる言葉です。

BPM:メロディの速さ

DTM:デスクトップミュージック、PC等で作る電子音楽

BPMはジョークの域を越えて

「あの子」との会話はどんどんヒートアップして、心臓のBPMつまりドキドキが加速していて、もう冗談では済まされないくらいには好きになっているということだと解釈しました。

そしてそのドキドキが「あいつ=エイリアン」の元に届いた。

恋のキューピッド気取りのエイリアンは、張り切って恋に溺れさせに来るわけです。

一天突破?月天木っ端??

一天:空全体、全世界

月天:仏教用語で月や光明

ちなみに歌詞は「一天突破」となっていますが、四字熟語としては一点突破が正しいです。

「ひとつのことに集中を注ぐ」といった意味ですね。

これは恋に集中することに決めたのでしょう。

「点」が「天」になってるのは、宇宙的な歌詞の世界観に合わせた言葉遊びかもしれませんね。

月天木っ端もやくしまるえつこさんの歌詞によくある言葉遊びでしょう。

これは少しこじつけかもしれませんが、「げってん」は方言で「屁理屈」とか「癇癪」の意味があるそうです。

屁理屈を木っ端微塵にして、感情に忠実に生きてしまえという意味にも捉えられます。

霧中

霧中:本当のことが分からないような状況

こちらも「夢中」と「霧中」での言葉遊びです。

直前に「迷宮入りまであと一歩」という歌詞がでてきますが、それとつながっていますね。

そもそも何が「迷宮入り」「霧中」なのかといえば、『感情には答えがない』ことでしょう。

理性的に生きていれば、恋愛なんてしなければ、キャリア形成とかしやすいですもんね。

恋愛は答えがなく、夢中になれば霧中になってしまいます。

言葉遊びも考察すればこんなストーリーが見えてくるところが、やくしまるえつこさんの歌詞の面白いところです。

キャプテン・クイーン

タイトルの「COSMOS VS ALIEN」において、この歌詞の一人称(出てきませんが)はコスモス(=理性、秩序)サイドだと解釈しています。

恋に溺れさせようと攻めてくるエイリアンに対して、こちらのキャプテンやクイーンに「迎撃しなきゃですぞ!」と言っているようなシーンでしょう。

…アメリカのSFなどに詳しい方はここらへんのニュアンスもより理解しやすいかもしれませんね。

意味的には、

感情の波に飲まれて秩序が乱れる!
どうしよう!
何かにすがらないと自分が保てない!

ってとこでしょうか。

さっきの「わら」を掴んで離さないような状況ですかね。

弾道あやつるあいつ

「あいつ」は先ほども言及しましたが「エイリアン」ですね。

「弾道あやつる」というのは、これも先ほどの「恋は盲目」に似た感じかもしれません。

恋している相手に対してはもう、何されても嬉しいみたいな。

最初に言及したように、「あいつ=エイリアン」はいたずらな恋のキューピットみたいな感じだと解釈しています。

キューピットが的確に「好き」を錯覚させてくる様子ですかね。

「弾道」をあやつって恋心にクリティカルヒットさせるイメージです。

SPACEとSWEET

宇宙はSPACE

「力こそパワー」みたいな…(笑)

でも宇宙という言葉は英語ではCOSMOSとして登場しています。

わざわざ「SPACE」という言葉を出しているということは、SPACEとCOSMOSは違うニュアンスなのでしょう。

COSMOSが「哲学的な宇宙」「秩序」として使われている言葉だとしたら、SPACEは単なる大気圏外の空間としての宇宙です。

「まさに宇宙はSPACE」ってなんでしょう…。

特に意味ないとか言われたらそれまでなんですけど。

恋に落ちたことで、秩序とか論理とか取っ払って、何が正しいのか分からない世界に陥ってしまった…というとこですかね。

にしても「宇宙はSPACE」というのはなかなかのパワーワードですよね。

ひとつのSWEET/宇宙のTASTE

恋の味は甘いとよく言われますね。

森高千里さんの「ロックン・オムレツ」でも

甘い甘い愛の味

「ロックン・オムレツ」作詞:森高千里

というフレーズが出てきます。

恋している世界の味は甘いのでしょう。

さっきのアグレッシブな世界観に反し、最後はロマンティックな雰囲気にガラリと変わります。

砂糖をひとふり

魔法みたいに砂糖をたったひとふり、つまりもう感情に溺れる覚悟を決めて踏み出せば、「あの子はいただき」=恋が叶う。

締めの部分は、もう理屈とかプライドとか捨てて恋に飛び込んでしまえという印象を受けるフレーズです。

冒頭にマジックで使われるフレーズが登場しましたが、最後も魔法で締めるのがおしゃれですね。

魔法と宇宙。

恋を表すのにすごくロマンティックなモチーフだなぁ。

参考資料

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