【歌詞考察】東京事変「キラーチューン」-卑屈な心を”ころす”チューン

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令和二年睦月朔日未明。

東京事変は「再生」を発表しました。

これをきっかけに改めて事変を聴いている人も多いのではないかと思います。

東京事変 – キラーチューン

このMVは何度も見ました。

冒頭、雨を避けるようにこうべを垂れて駆けていく人を横目にすらりと雨空を仰ぐ林檎さんを見ただけで魅了され、漠然とこんな大人になりたいと思ったのを覚えています。

歌詞や曲自体もハッピーになれるものですが、このMVも雨の日をハッピーにしてくれます。

贅沢は味方

「贅沢は敵」

「欲しがりません勝つまでは」

という戦時中の節制スローガンがありますが、真逆の言葉で冒頭を飾ります。

ここでの勝ち負けについて私は、何の気なしに土俵に上がってしまっているマウント合戦を思い浮かべました。

私の話になりますが、大学進学で田舎から都心に通うようになってから、都心育ちの裕福な家庭の同級生達にめちゃくちゃ嫉妬していました。

ちょうどその時期に出会ったのがこのキラーチューンでした。

ママにジュエリーを買ってもらっただとか

バイトしなくても親の金で旅行三昧だとか

自慢してくる同級生への嫉妬。

私のしまむらの服を小馬鹿にしてくる

同級生への憎しみ。

勝手に負けた気になってましたが、この曲に出会ってその心の貧しさこそが「負け」なのだと気付きました。

取るに足らない声に自分の勝敗を判定するのはなんと愚かだったことか。

そんなことより「好き」とか「したい」とか、主体的な揺るぎない「感度」を大事にした方が幸せなのにね。

なかなか気づけないんですよね…。

ザラにないの

ザラというのは私の大好きな洋服屋さん、ではなく「そこらへんにある」ことです。

語源はじゃらじゃらの小銭です。

財布と掛かっているのでしょうか。

財布(=お金)がないと贅沢できないように謂われがちだけれど、お金で買えるものだけじゃ足りない

譲れない嗜好や信頼関係、愛など、お金で買えないものこそが心を満たす最高の贅沢だったりします。

洗脳にご注意

洗脳と書いて「」。

洗脳とは読んで字のごとく脳を洗うこと、つまり(基本的には)被洗脳者の自己を否定させて消し去り、洗脳者の都合の良い考えを植え付ける手法です。

贅沢は敵」のスローガンが今となってはあり得ない考えであるように、世間一般の都合の良い洗脳を鵜呑みにしていたら本当に麗しいものを見失ってしまいますよ、というご忠告です。

ここ、重要です。

わざと逢えた

こんな素敵な歌詞は林檎さんにしか書けない…。

わざと逢えたなんてこれまで誰か口にしたことがあったでしょうか。

いや、ない。

わざと=意図的に、出会うべくして出会った。

それはきっと、世間の誘導に流されず揺るがない「感度」に従って生きてきたからこそ一生ものの麗しい人に出会えたということでしょう。

季節を使い捨て生きていこう

というのは、過ぎた日を振り返らず1日1日を大事に贅沢に過ごそうということでしょうかね。

はなんでしょうか。

個人的に夜は、頭が冴えて作業が捗るし何より星空が好きな田舎民なもんで好きです。

そして、気温がちょうどよく花粉の大爆発もない秋は一番好きな季節です。

夜も秋も盗めないよとはどんな時間もだれかの為に消費する気はない、ということなのかなぁと思います。

妬まれなきゃいけないね

2番冒頭、この部分を初めて聴いた時、きっと林檎さんは裕福な家庭に育ったんだろうなと思いました。

そう、学生時代の私の嫉妬対象です。

ドキっとしました。

でも、裕福さを感じるのに、全然ブルジョアジー的な嫌味がないですよね。

林檎さんには寧ろ素直に憧れすら抱きます。

 欲しがらないなら贅沢はできない

新約聖書にも「求めよ、さらば与えられん」とありますね。

山Pがよぎった人は私と同世代です。

貧しさに甘んじて芳しい対象に嫉妬し攻撃するような、幸せになる気がない人は幸せになれない

…言葉にすると当たり前すぎますね。

でも気づかずに「欲しがらない」人が余りに多い気がします。

昔の私もね。

その「ムカつく!」を「私も欲しい!手に入れよう!」に変換するだけで、心を打つ冷たい雨がこの曲のMVのようにキラキラしてきませんか?

無駄がなけりゃ意味がない

今日/人生は、一度きりという言葉が私はあまり好きではないんです。

根が真面目な私にとっては、なんか全身全霊頑張らなきゃいけないと言われている気がして。

しかも正論だから否定できないし…。

でもそこで救いになるフレーズが次の

無駄がなけりゃ意味がない。

無駄でいいんだ、どころか無駄があるべき!とまで。

今日は一度きりだから『時間を無駄にするな』、ではなく、無駄がなきゃ意味がない!

本当はやらなきゃいけない仕事があるけど、早く上がってデートしちゃお!

無駄とは分かってるけど、ちょっと高い服買っちゃお!

こうして具体的に考えてみると、真面目に考えすぎず、心の赴くままにハッピーになればいいのに!と言われているんだなあと感じますよね。

このフレーズは今でもふとした時に、まるで亡くなった祖母を思い出すかのような頻度で(例えが不謹慎)思い出すフレーズです。

それくらい、不器用で真面目で頭の固い私にとって、大事で、救われる言葉なのです。

険しい日本で逢えた

日本と書いて「ここ」と読みます。

険しい日本

険しいという言葉は通常、歩いたりするのが難しい道や山を指します。

外国に比べて日本はこうだ、とはあまり言いたくないですが、アメリカに多いセレブを題材にした雑誌や番組は日本では少ないですよね。

日本の芸能人も、人気であればこそ贅沢をひけらかすようなことはしません。

慎ましさが美しいような風潮がこの国にあることは否めません。

もちろん悪いことではありませんが、行き過ぎて「贅沢は悪!」とでも言いたげな戦時脳の方々が多い事はネットネイティブの我々世代はもうお気づきでしょう。

贅沢するには妬まれなきゃいけない日本

そんな戦時中の「贅沢は敵」が今だに残る険しい日本(ここ)で、有り難く、また贅沢にも愛する人に出会えた

一生もの」という言葉自体が贅沢を想起させますよね。

恋心も、空のように気ままに移りゆく感情も、人間の力で簡単に変えられません。他人も自分も。

恋も空も騙せないというのは、自分に嘘はつけないし、自分に嘘をついて誰かに合わせていては贅沢はできないということでしょう。

探し出してくれてありがとう

探し出してくれて、ということは相手も「欲しがる」人だったのでしょう。

「貴方」も「私」も感性に正直に生き、素直に幸せを欲しがったからこそ「一生もの」の贅沢品に出会えたんだなぁと考えさせられます。

キラーチューンのタイトルの通り、持つものを妬み持たざる卑しさに甘んじてた私は、この曲に出会ってころされました

下を見て安心するのも違うけど、上を見ても果てしない

そもそも、幸せって勝った負けたじゃないんですよね。

そんな世間様都合の土俵から降りて、己の感情に正直に、MVの林檎様よろしく堂々と、贅を求めて歩いて行きたい次第です。

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