坂本真綾さん作詞のKinKi Kids最新シングル
(2019年12月時点)。
また首位記録を更新しましたね。
大好きです、この曲。
二面性のある歌詞
考察の結論を言うと、この曲は
・彼らの人生に想いを馳せる。
・自分の人生の今までとこれからを考える。
1曲で2側面の聴き方のできる歌詞のようです。
この歌詞は、多くの人に共感してもらえる歌詞に見えて、だからこそ結構攻めてるなあと思いました。
1番は
「犠牲」「奪ったもの」
「満たされるだろう」
など割と暗いワードが目立ちますが、
2番ではすこしずつ前向きになっていく(完全には前を向かないようだが)歌詞となっているようです。
タイトルも「光の気配」と、暗さがベースでありつつ前向きになれるタイトルとなっています。
このアンビバレンスで繊細な歌詞も、KinKiの2人が唄うことで彼らの人生に生意気ながらも想いを馳せることもできます。
犠牲にしたもの
光一くんに似合う光一くんパート
1番Aメロの、印象的な
犠牲にしたもの 奪ったものはいくつ
作詞:坂本真綾
という光一くんのパート。
光一くんはインタビューなどを見てもストイックで常に周りに感謝している印象が強いです。
(もちろん剛くんもですが)
だから一見この歌詞は似合わないように思います。
しかし、2019年にNHKの番組でキンプリの岸くんと対談をした際、「仕事の所為」とは明言せずとも明らかにこの仕事で犠牲になった過去の恋人の話をしていたことをこのパートで思い出しました。
KinKi Kidsが歌うことに意味がある
身体は1つ。時間は有限。人生も1つ。
こんな普遍の真理を生きる限り、何かを得るために何かを犠牲にし誰かの時間や気持ちを奪っていくしかないんですね。
これは当たり前のことですが、大人になるにつれこのことを後悔したり疑問に感じたりします。
切なくなる歌詞ですが、KinKi Kidsが唄うことで
「アイドルである彼らもみんなも同じなんだよな」
と少し楽になる気がします。
どこまで行けば
誰もが満たされたい
1番のサビ。
そういえば珍しくサビも1人1人唄うんですね。後半合体しますが。
サビバラバラな曲はパッと思い浮かぶのは冬のペンギンとかsecret codeとかですかね。
どこまで行けば僕は満たされるだろう
作詞:坂本真綾
これも、大人になれば誰しもが考えることだと思います。
満足するためにどうしたらいいかわからないけど満足に生きることを諦められない。
誰だって今よりよりよい人生を望んでる。
というか諦めるという選択肢もない。
「光=よりよいことがあるはずという希望」の
「気配=あるかどうか確実でない予感」
だけを信じて、誰もが生を営んでいるんですよね。
KinKi Kidsに歌わせるのがすごい
しかし
このパートをKinKi Kidsの2人に歌わせるってすごいですよね。
だって、未だにKinKi Kidsをキラッキラのアイドルとしてしか見ていない人には
アイドルが人生満たされてないわけないだろ!
と思われる可能性も十分あるじゃないですか。
何かと厳しい事務所だと言われてますが、事務所とKinKi Kids、KinKi Kidsとそのファンとの信頼関係があってこそこの歌詞を唄わせられているのではないかと感じました。
もし間に合うなら
剛くんに似合う剛くんパート
2番のAメロ、すごい剛くんっぽいですよね。
剛くんはラジオなどでよく
「30になったくらいから自分らしく生きられるようになった」
と言ってます。
周りの期待に応えるままに生きていたころには、事務所外の好きな人たちと好きな音楽を作ってライブをやるなんて思ってなかっただろうな。
そんな剛くんがこのパートを唄うことで、聴き手にも
「もう遅い」なんてことはない
『なりたかった自分』を迎えに行けるかもしれない
と思わせることができます。
実際私も大人になって好きな音楽をやっている剛くんに勇気をもらっている1人です。
人間らしいフレーズ
あとここの
もし間に合うなら
の唄い方が切なくて、個人的に泣きポイントです。
「もし間に合うなら」。
人間らしくて良いフレーズですね。
いくら希望があったとしても、不安は何かしらありますもんね。
選ばなかった道
選ばなかった道。
例えば安定を求めて諦めたミュージシャンの夢。
遠距離恋愛で別れを告げた恋人。
どこかで繋がるというのは、必ずしも「叶う」ということではないと思います。
ただ、夢があったからこそ出会えた人もいるだろうし、別れたからこそ成し得たこともあるでしょう。
まさに
Everything happens for a reason
というわけです。
坂本さんもここまではキンキ意識してないと思うけど。。
飛び立った鳥
美しい「モチーフ」
飛び立った鳥
冷たい風
かすかな光
モチーフを組み込むのがうまいなあと思いました。
「悲しい」とか「希望」とか「夢」のように直接的かつ限定的な表現でない分、幅広く言葉にし難い感情が、秀逸に美しく形容されてます。
鳥とは?
この曲での鳥はどういう意味なのか解釈が難しいです。
2番のサビでは「僕も一緒に連れ出していく」
ラスサビでは「僕を捉えて離さないんだ」
と続くのでポジティブな意味ではあるようです。
冷たい風に抱かれてるから「出会えてない人」や「なりたかった自分」のようなものでしょうか。
・・・とも思ったのですが、
もしかして、ジャニ男?
(ジャニ男:2019年7月に亡くなったジャニーズ事務所の社長、故ジャニー喜多川氏のこと。
堂本剛以外にこのあだ名で呼んでる人を見たことがない。)
ジャニ男だとつじつま合うんですよ。
「見えなくなってく」「境界を越えて」
=この世から離れる
「僕も一緒に連れ出していく」「あの鳥のように〜離さないんだ」
=信頼できる人生の先輩として自分を導く
・・・どうでしょうか。
この曲を大人の人生の曲として聴くなら前者、
KinKi Kidsの楽曲として聴くなら後者(ジャニ男)、
というのが私の解釈です。
折衷案として慕っていた故人、という解釈も有りかもしれません。
答えはないと知っている
そしてラスサビ。
「知っている」と断言してますが、明らかに前向きな意味ではないんですよね。
けれど、ネガティブな意味でもないと感じます。
答えがないと絶望しているのではなく、答えがないと知れたからこそ、無闇には彷徨わなくなった。
無知の知・・・の話はちょいとズレるのでやめときましょうか。
結局、光の気配とはなんなのか
小さな幸福の連鎖
光の気配=「希望や生きがい、ささいな幸福」が、自分を生かしている。
音楽好きな人なら好きなアーティストの情報が更新されると寿命が伸びますよね。(断定)
「来年アニバーサリーイヤーだからあと1年は生きなきゃな。」
「再来月のチケット当たったからそれまで生きよう。」
「あと2日仕事行けばブンブブーンだ。」
光の気配って、こういう小さな幸福の連鎖だと思うんですよね。
まるで竹林の木漏れ日の中を散歩するように。
(私はこの曲を聴いて地元の竹林を思い浮かべました)
苦悩の先に希望がある、分かってるけど…
…以上を踏まえて戻って、冒頭のAメロを。
歌詞でも言及されているように、昔から言われてることなんですよね。きっと。
坂道(=苦悩) の先には 朝焼け(=希望)
があるって。
坂道を登っている途中では朝焼けが必ずあるかどうかなんてわからない。
たとえ昔からそう言われていても。
ラジオから流れてきたよく知らないような曲ですらそんなことを唄っているけど、なかなか自分を信じるって難しいですよね。
何度朝焼けの前に坂を途中で降りてしまったことか。
「光の気配」が人を生かしている
それでもですよ。
光の気配が、些細な希望が幸福が夢が、自分に生きるという選択をさせるんですよね。
坂本真綾さんとKinKi Kidsは面識がなかったそうですが、3人は若い頃から39歳、40歳になる現在まで芸能のお仕事をしています。
仕事に生き、自由が効かない人生の中で共通する部分もあったのではないでしょうか。
とくに剛くんはよくラジオで
「自分の人生のようで自分の人生でない」
「もしこの仕事をしていなかったら…」
というような言葉を口にしてます。
それは単なる愚痴ではなく、ファンのみんなには自分らしく生きてほしいというメッセージなのだと思います。
そんな彼の想いを知ってか知らずか、この『光の気配』は彼の気持ちを代弁してる、とまではいかなくとも、嘘を歌わせるようなものでない。彼らの等身大の歌詞となっている気がします。
この曲は
・彼らの人生に想いを馳せる。
・自分の人生の今までとこれからを考える。
1曲で2側面の聴き方のできる歌詞です。
みなさんはどのように解釈しましたか?